私たちが歯医者へ行くときは、痛む虫歯を治療してほしいときや新しい歯を入れてほしいときです。
しかし、欧米を中心とする日本以外の国では、虫歯治療に限らず、日常的に歯のケアのために歯医者に通ったり、定期的に歯医者で歯の検診を受けるのが常識となっています。
これは、日本に比べ、歯やその周辺の病気について、深刻なものとして真剣に受け止めているからです。
日本人は、毎日の歯磨きなどについては大変神経を使っていますが、それは、どちらかというと歯をきれいに見せたい、口の臭いを消したいという、衛生上の気持ちからきているようです。

歯の周辺の病気として、代表的なものに歯周病というものがありますが、この病気は本来ならば、かなり怖い病気として捉えなければなりません。
口腔内に棲む菌によってもたらされるのが歯周病ですが、これをそのまま放置していると、歯の根元の歯茎を支える骨までも溶かしてしまいます。
病状が進んでいくと、最終的には抜歯するしかなくなるのです。

予防が何より大切

歯周病菌を完全に除去してしまうのは難しいとされています。
そのため、予防が大事になり、最低限でも毎日の歯磨きを欠かしてはいけません
歯周病になる前の段階では、プラークというものが歯の表面にできますが、歯を磨くことでこれができないようにすることが大事になるのです。
定期的に歯の検査を受ければ、このプラークができていないかチェックすることができます。
また、歯周病にかかっているかも診てもらえますが、日本で一般に考えられている歯周病と実際の歯周病とは、意味が多少食い違っているので注意が必要です。

歯周病とは

日本では、一般に、歯茎がぐらついたり腫れ上がっていたり、歯と歯茎の間が知覚過敏になっているのを歯周病と呼ぶことが多いのです。
本当はもっと広い意味があり、日本人のほとんどがすでに歯周病にかかっているとも言われています。
つまり、定期的に検診を受けて気をつけていないと、すぐに悪化して深刻な病状に変わってしまうということです。
手遅れにしないためには、定期的に検査してもらう習慣をつけるのが大事なのです。

歯周病が怖いのは、歯周病菌がもたらす病気が歯周病だけとは限らないからです。
口腔内にできる口内炎や口腔がんといった病気も、じつは歯周病菌が原因の病気です。
それに、歯周病は口内炎や口腔がんなどのように口腔内だけにできるものでなく体のほかの部位にまで影響を及ぼす感染症にもなります。
歯周病菌は血液や唾液に混じって口腔以外の部分へ運ばれ、肺炎や心筋梗塞、糖尿病なども引き起こしたりするとされているのです。
これらの病気は、歯周病菌により直接影響を受けるのではなく、歯周病菌がほかの部位へ運ばれて、そこで感染していくことで深刻な病気を引き起こす危険度を高めているのです。

歯周病を放置することは糖尿病誘発に関係している

口腔内にある歯周病菌が血液によってほかの部位へと運ばれる際に、その血管に付着して動脈硬化への進行を助けているのではと考えられています。
血管への付着が原因となり、心臓においては心筋梗塞を、脳においては脳梗塞を引き起こす遠因になっているのではともされているのです。

ほかにも、歯周の病気によってできる炎症性物質はインシュリンの働きを低下させることで糖尿病のリスクも高めていると見られています。
そして逆に、糖尿病になると免疫効果を低下させ、菌の増殖を助けてしまうのではともされているのです。
歯周についての病気と糖尿病は相互に関連し合っていると考えられているのです。

歯周病を深刻な状況にさせないために

歯周病菌によって起きる歯周病については、きちんと定期検診を行っていれば、歯を失うほどにまで深刻な状況にはなりません。
その過程において、防ぐことができるからです。
歯周病菌が歯に付着すると歯垢が作られてしまいますが、これは毎日の歯磨きで防ぐことができます。
しかし、雑な歯磨きなどで残ってしまった歯垢は、歯と歯茎の間の溝に溜まって歯の根元で成長を遂げ、溝を広げて歯周ポケットというものを作ります。
歯周ポケットは冷たい飲み物を飲んだときなど敏感に感じさせる知覚過敏を起こさせるようになるのです。
歯周ポケットには歯垢や食べ残しが溜まったりして菌の増殖を助けてしまいます。
溝に溜まった歯垢や食べ残しは、歯磨きで除去しづらくなるので、歯科医院へ通院しての治療が必要になります。

ドライソケットに注意

ただ、歯周病は雑な歯磨きなどが原因でできるだけのものではありません。
親知らずは抜いておくほうが良いことは常識になっていますが、親知らずを抜歯する際には抜歯跡に大きな穴が開いてしまいます。
その穴を塞ぐために多量の血液が出たりしますが、血液があまり出ない場合には、そこにドライソケットという穴ができたりします。
これができると、激しい痛みをもたらしてしまい、食べ残しなどが詰まりやすくなり、炎症を起こして歯周病菌の繁殖などを招いてしまいます。
親知らずはほかの歯の治療などにも使用できるので、抜いておくことが奨励されていますが、こうしたドライソケットができることもあることは頭に入れておく必要があるでしょう。
もし、親知らずの抜歯後に、いつまでも穴が塞がらないままで、加えて激しい痛みに襲われたならば、歯周病へ進んでしまうドライソケットができている可能性があります。
すぐに歯医者に診てもらい、その後の処置について相談するようにしましょう。
ドライソケットができる原因は、抜歯した部分を指などで触ってしまう、何度もうがいを繰り返してしまう、飲酒や運動などで血流がよくなりすぎるなどが考えられます。
こういった行為はしばらくは控えておくようにしましょう。